ネコザメを食べてみた

食べる

2020.10.02




ネコザメ 食べる

ネコザメという魚を知ってる方は多いのではないでしょうか?
水族館などで底のほうにじっとしているユニークな顔をしたサメです。

今回、そのネコザメを食べる機会がありましたので紹介します。

送っていただいたのは、九石大敷さんという定置網で魚を獲っている漁師さんで、
一匹一匹を獲れたその場で血抜き→神経締めをしているこだわりぶりです。

◆Kuishiの漁師チャンネル

今回はそんな丁寧に処理された、50cmの超新鮮なネコザメを水揚げされたその日に食べてみました。

ネコザメの外見

子供のころから水族館などでネコザメを見るたびに、あの独特な顔と口はどうなっているんだろうと思っていました。
よもや、それを手に取ってじっくり観察できる日が来るとは。

それでは、まずは頭を見ていきます。

ネコザメ 食べる

脳天はしっかりと神経締めされた跡があります。

 

ネコザメ 食べる

まずはこの独特な目。
サメ科の魚にあるまじき目の形。
目だけみたら、サメというよりもタコの仲間に近い感じです。

そして鰓の数は5対。

ネコザメ 食べる
最近は鰓が一対の魚しか見てなかったので、鰓が5つもあるのは新鮮です。

そして、いよいよ一番気になっていた「口」。

ネコザメ 食べる

ネコザメ 食べる手前のザラザラの歯で貝とかを口の奥に入れて、奥の石畳みたいな歯で割るのかな?

なんでこんな凹凸がある構造になったんだろう。
見れば見るほど不思議な口。

目もそうだけど、この口の形が正面からみるとなんとなく猫の口に見える。

ネコザメ 食べる

サザエとかウニとか硬いものを食べるために、このように発達したのでしょうが、
だったらなぜイシダイやブダイのように嘴を持たなかったのでしょうか。

う~~~ん、謎だ。

歯も入口の部分は縦長に伸びるザラザラの歯。
そして、その奥には平たい石畳のような臼歯。

おそらく、手前のザラザラの歯で、貝などを咥え、口の奥に持って行って、
臼歯で砕いて中身を食べるようになっているのかな。

一般的な魚の咽頭歯とかなり形状や大きさ、範囲などが違っていて、非常に面白かったです。

次に胴体の部分ですが、第一背ビレと第ニ背ビレには極太のトゲがあるんですね。

ネコザメ 食べるネコザメ 食べる
知らなかった・・・。
毒針なのかな?
いくつかのサイトや動画をググってみると非常に微妙な答えで、「おそらく毒はないだろう」
という答えでした。ただ、毒はなくてもこのトゲだけで相当に身を守る武器となるそうです。

性別判定ですが、今回のネコザメは尻ビレの部分にクラスパーと呼ばれる交接器が
ついてなかったので、メスでした。

ネコザメ 食べる

尾びれもまた独特な形をしていて、ここはフカヒレでぜひ食べてみたい部分です。

ネコザメ 食べる


 

調理

外見を観察した後は調理にかかります。

通常は、魚と同じく片方のエラの部分に切れ込みを入れてひっくり返し、
もう半身にも切れ込みを入れてそこから一気に背骨を切ります。

やっぱり50cmともなるとそれなりに力を入れて切らないと、
背骨は落とせないだろうなぁ、と力を込めて背骨を切ると、ストンと一瞬で切れてしまいました。

あ、そうか、軟骨魚類だった…

第一背ビレと第二背ビレのトゲが軟骨魚類とは思えない硬さだったので、
かなり身構えてしまった。あのトゲだけみたら本当に軟骨魚類なのか、と疑問になります。

背骨も普通の魚の違って、一つずつの節がくっついているという感じではなく、
縮めているストローのような凹凸のある表面で、なんともグニャグニャで柔軟性のある背骨でした。
もしかして、背骨とかのカルシウムが全部背ビレのトゲ2つに行ってるのかな?

頭を落としたあと、ヒレを全部落としていきます。
せっかくのサメなので、ヒレはフカヒレスープにしようと思います。

ネコザメ 食べる
胸鰭や尾びれなどを順調に切り落としていきましたが、困ったのは、例のトゲのある背ビレ2つ。
ヒレの軟条の部分は簡単だったのですが、トゲの部分だけやたら硬く、出刃でも切り落とせませんでした。

次にお腹を割いてみて、まずびっくりしたのは、肝臓の大きさ!
サメの肝油って商品化されているだけあって、やっぱり肝臓が大きかったです。
これはぜひとも肝醤油で食さねば。

ネコザメ 食べる

そして、やっぱり気になるのは胃袋の中身。
多分サザエとか貝の殻がたくさん出てくるんだろうなぁ、と思ったら出てきたのは半分消化された
魚やイカ。
この人たち、こういうのも食べるんですね。
ネコザメ 食べる
あの歯でこういう物食べるなんて意外でした。

なんとか無事3枚におろしましたが、皮を引くのも非常に大変でした。
青魚でよくある、身を押さえながら皮を引っ張る方法も使えませんでした。
魚は新鮮な程、皮が引きやすいと言われていますが、ネコザメさんは例外でした。

上の写真にあるように各ヒレから皮をはがすのは大変でした。

 

身のほうは、皮を引くと真鯛のような綺麗な色合い。
これは期待できるわ。

 

アラはグリル入れて、塩焼きに。

ヒレは丁寧に鮫皮を剥いでフカヒレスープにします。

 

ネコザメ 食べる
この皮を剥ぐ作業がめっちゃ大変だった!




実食

まずは肝とお刺身。

薄切りにした刺身を食べてみると・・・・

硬い!!!

歯ごたえがある、なんてもんじゃなく、マジで硬い。
噛み切れない。

鮮度良すぎでしょ!

じつは、サクの状態から薄切りにするときになんとなく気が付いていました。
「これ・・・・硬くね?」って

横着して出刃でやるんじゃなくて、柳刃でフグのように薄造りにすればよかった・・・

歯ごたえはありすぎて噛み切るのは大変でした。たしか湯引きにして酢味噌で食べる地域があったと思いましたが(広島とか岡山だったかな)、たしかに、湯引きにして食べるのが納得の身質でした。次、食べる機会があったらそうしてみようかな。そして肝心の味はというと、最初に甘味が軽く感じられて・・・・なんとその後感じた味が、なんと「苦い」!!!

初めて魚介類を食べて、苦いと感じました。初めてだったので、びっくりしてインターネットで他のネコザメの体験談を読んだら、苦い個体と普通の味の個体がいるようです。そして、どうやら今回自分が食べたのが苦い個体だったようです。

サメはアンモニアを含み、時間がたつにつれて、アンモニア臭がきつくなるようですが、今回のネコザメは獲ってすぐ、血抜きに神経締めがプロの漁師さんによって行われており、尚且つのその日の昼に捌いて食べたので、鮮度は全く問題ありません。ということで、食性か海域か、どのような違いが苦い個体と普通の個体を分けるのかはわかりませんが、少なくとも鮮度が問題ではないと思います。

ちなみに、今回調理動画を撮っていたのですが、SDカードの不具合で映像が撮れてませんでした・・・・

しかも、各料理の写真は撮り忘れるという失態・・・

 

次に、背骨などのアラを塩焼きにしてみました。これも写真撮り忘れた・・・
身は比較的身離れがよく、骨から取れやすいのですが、身と皮は間にあるゼラチン質が
接着剤の役割をして全然はがれませんでした。しかも生の時はあんなに頑丈だった皮が
グニャグニャのぺろぺろになっていて、簡単にちぎれるので、どうしても身と皮が一緒に
取れてきてしまいます。
そして、鮫皮ごと食べてみると、ザラザラとした食感が伝わり、噛むごとに歯のエナメル質が
削れていくような感じでした。
そしてアラの身もやっぱり苦かったです。加熱により苦みが消えるとか、薄まるとか期待していたのですが、刺身と遜色のない苦みでした。

最後にフカヒレスープ。これは写真を撮ってました!
ネコザメ 食べる

頭からもだいぶダシがでたかな?
乾燥シイタケを2つ入れたので、シイタケの風味がだいぶ効いていました。
そして味はまぁ、なんか微妙でした。薄い醤油風味に薄いシイタケのダシ、そこに苦みが合わさった本当に微妙な味でした。
醤油が足りなかったのかな。
フカヒレもあれだけ頑張って皮を取ったのに、乾燥させる作業を省いたからなのか、
食感もゴリゴリしていました。

ちなみに、あのサザエをも砕く剛健な歯ですが、鮫皮と同じく煮たことによりヘノヘノのポリポリに
なっていて、奥の臼歯なんかは生のときは分厚いカルシウムの塊のようだったのに、
いまじゃ薄いプラスチックの破片のようになってました。歯は加熱する前と後とで、おもしろい変化でした。

頭はともかく、ヒレは今後は一回干す作業を入れてみようと思います。

ということで、今回は九石大敷さんという定置網の漁業者さんから送っていただいた
ネコザメを食べてみました。機会があったら苦くない個体もぜひ食べてみたいです。

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