こんにちは。
今から遡ること数年前。
佐賀県は有明海のムツゴロウという魚を釣り(引っ掛け)に
佐賀県鹿島市にある、道の駅鹿島に向かいました。http://michinoekikashima.jp/main/
道の駅鹿島
ここでは時期によって、有明海の独特な生物と触れ合える体験プログラムを行っていて、今回のムツゴロウ釣りもそのうちの一つ。
他にできる体験としては、ワラスボ漁や棚じぶ漁などです。
料金や開催時期などはこちらのURLを。
http://michinoekikashima.jp/main/13.html
http://michinoekikashima.jp/main/34.html (棚じぶ漁)
ちなみにムツゴロウ釣り体験料は一人参加だと4500円ですが、
2人以上だと3500円です。ムツゴロウ釣りの名人が直々に教えてくれます。事前予約が必須です。
予約はこちらから:http://michinoekikashima.jp/main/128.html
話しを戻して、数年前。
初めて挑戦した時は慣れないガタスキーに干潟のねばっこさ、ムツゴロウの常に射程外に逃げる警戒心の強さに完敗。
引っ掛けることは数回できたものの、取り込みまでには至らず、ボウズでした。
その雪辱を晴らすべく、今回2回目の挑戦をしてきました。
そして、この記事は今後ムツゴロウ釣りに挑戦してみたい、という人に向けて、色々と有益な情報を載せました。ぜひ参考にしてください。
装備
道の駅鹿島で借りることができるのは、
・ガタスキー (4mくらいの木の板。足で泥を掻き干潟の上をこの板で滑るように進む)
・膝当て (片膝を立てて釣りをするので、二つ一組)
・膝置きパッド (白い正方形の発泡板、一旦干潟に出ると泥まみれになって失くしやすいので注意)
・足袋 (干潟の中の貝殻で足を切る可能性がある)
・グローブ (ひっかけ針は結構するどいので、手の保護)
・竿 (4.5mほどの昔ながらの重い竿の先にPEラインに結ばれたひっかけ針がついている)
・カゴ (自分の物や釣ったムツゴロウを入れるカゴ。穴が開いているので、中まで泥だらけになります。汚れて良い物のみ入れる)
*体験者必須の装備
長袖のシャツ (干潟の上でジリジリ焼けるので、長袖必須です)
帽子 (受付で保険にも入りますが、針が刺さった場合の保険はおりません。頭部保護のため、熱中症防止のためにも絶対かぶっていってください)
水 (カゴに入れていく場合は泥まみれになります。ペットボトルとか推奨。魔法瓶は中まで泥まみれになるので、やめた方がいいです。)
・持っていくとちょっと面倒になるかもしれないもの
サングラス (何だかんだで泥が飛び散りレンズに付き視界が悪くなります。手やシャツの袖は確実に泥まみれになるので、拭うこともできません。最悪前かごにいれて、泥まみれ放置も)
とにかく手から服から顔まで全身泥まみれになります。有明海の干潟の泥はそこらへんの公園の泥と違って、火山灰がもとになった非常に粒子の細かい泥で、粘質が高いです。一旦、干潟に出ると洗うところはほとんどありません。そのつもりで準備していってください。
陸地での練習
干潟に出る前に、ひっかけ針ではなくゴルフボールがついた実際のムツゴロウ釣りに使う竿を使って、平地で投げる練習を最初にします。
4~5m先に水の入ったペットボトルが4~5本あり、それを目標にします。
ここで、この練習の意義を間違えないようにしてください。
ここでの練習はゴルフボールを正面からペットボトルにぶつけて倒すことではありません!!!
平地の練習で正面からペットボトルを何本倒してもムツゴロウは一匹も獲れません。保証します!!笑
ここでするべき練習はペットボトルをムツゴロウに例え、ペットボトルに当たらないように、ペットボトルの後ろ30~50cmの地面にボールをノーバンで着地させることです。
着地したあと、ボールが跳ねて変な方向に行きますが、それは問題ありません。とにかく最初の着地場所が重要です。
ストレートでもカーブでもかまいません。
とにかく、ノーバンでペットボトルの後ろ30~50cmの地面にボールを着地させることが大事です。
この平地での練習は途中バウンドして、ペットボトルの後ろ30~50cmに落ちることもあるでしょう。
まったく意味ありません。
干潟の泥は決してバウンドしません。ズボッと針が埋まってそこで終了です。絶対にノーバンで投げれるようにしましょう。
またペットボトルに当たらないように、というのも必要です。
ムツゴロウはひっかけ針が触れたらもちろんのこと、ひっかけ針を結んでいるPEラインが体に触れても即、穴の中です。なので、なるべくペットボトルにひっかけ針が触れないようにポイントに落としましょう。
平地での練習はこれらを意識すれば必ずチャンスが来たときの役に立ちます。
下の動画だと平地の練習はこんな感じです。最初のほうに、平地での練習が映ってます。得意げにペットボトルを倒してますが、悪い例ですので、真似しないようにしてください。笑
この時は間違った練習をしたため、ボウズでした・・・・涙
干潟
ゴルフボールでの練習を終えて、ガタスキーを泥の上に置き、いよいよムツカケ漁の漁場へ向かいます。白い発泡板をおき、そこに膝を立てて、もう片方の足で泥を掻きます。
岸壁から3mくらいは下にコンクリートが入っている上に、干潟の表面が水でシャバシャバなので、非常に進みやすいです。まさに干潟の上をすべるように進んでいきます。
そう、最初の20~30mくらいまでは・・・
その後は、干潟の上の水があまりなくなり、まさに泥の上を行くことになります。ここからが大変なところで、ガタスキーが途端に滑らなくなります。大変なところなのですが、今回一つ良いことを発見したので、ぜひ参考にしてみてください。
それは干潟の道です。
漠然と茶色の干潟が広がっているだけに見えますが、ちゃんと見ると表面の水はけ具合が異なっている、つまり干潟の表面が水浸しなところと、水がまったくなく、泥がむき出しになっているところがあるのに気づきます。この泥がむき出しの部分はぜひ避けるようにしてください。この部分はガタスキーと泥との摩擦が大きすぎて、足で掻いても掻いても進まない上に、仮にそこで釣りを始めて数十分いるとなると、ガタスキーがずっぽりはまって干潟の上で遭難するんじゃないか、と思うほどまったく動きません!(経験者は語る)
これをすると貴重な釣りの時間(干潮しかできないので、3時間ちょっと)と体力をものすごく浪費することになります(次の日は筋肉痛でした)。下の写真を見比べてください。
雑ですが赤線で囲ってみました。
上の写真と見比べるとこの囲った部分だけ泥が露出しています。
この部分を通ると途端にガタスキーが進まなくなりますし、そこで止まって、釣りをすると、釣ってる間はいいですが、移動するとき悲惨な目にあいます。はい、遭いました。動画ではガッツリそこで釣りしてはまってます。
写真のようにかなり遠くまで見渡せることから、やみくもに進むのではなく、水のある場所を確認しつつ、そこを通るのが楽な方法です。
ちなみに、体感的には泥が露出している場所よりも水がある場所の方がムツゴロウが多いように感じました。
ということで泥の部分を通ったり、ましてや、はまるのを覚悟でそこで釣りをするメリットはあまりありません。
他の干潟の生物に関しては、岸壁の近くにはトビハゼの小さい子供(1cm未満)しかいませんが、30mほど漕ぎだすと、たくさんのカニ、そして50m~100mくらい漕ぐとムツゴロウたちが多くなっていきます。
段々と生き物が増えていくのを干潟の上で見ることができるので、とても楽しいですよ。ま、けっこう漕ぐのもつらいですが・・・
ムツゴロウの釣り方
さて、いよいよ本題です。
ムツゴロウの釣り方ですが、おそらく初めて挑戦する人は
ほぼ全員最初は絶望するのではないでしょうか?
自分もそうでした。
だって、針を投げる以前に、すべての生き物が射程外で穴の中に入る
んですもん。
これまたある意味壮観な光景で、近づくと、目の前の生物ほぼすべてが、
「ワシャッ!」と一斉に穴に入ります。
はっきり言って、自分も最初は、「は?」でした。
「いやいや、射程内に近づくことすらできないじゃん」の連続でした。
おそらく、このムツゴロウ釣り体験に参加する方はあらかじめ、Youtubeかなんかで名人のムツゴロウをとる姿をみて、予習してきた方もいるのではないでしょうか?そのイメージと現実を比較して、こう思うんじゃないでしょうか?
「針を投げる以前の問題なんですけど・・・・・なにこの無理ゲー」
確かに最初はこんな感じで、針を投げることすらできません。。
しかし、しばらくその場で静かにしていると、彼らも慣れてくるのか、
あまり警戒しなくなり、ぴょこぴょこ出てくるようになります。
そして、そのうちの数匹がギリギリ射程圏内に入ってくることも。
とにかく、最初は無理に獲ろうとせず、彼らが慣れてくるのを待ちましょう。大体15~20分くらいで慣れてくると思います。
20分経ってもムツゴロウが一向に出てこない場合は場所移動してみるのも手かもしれません。
何回か移動を繰り返していると、人慣れしたムツゴロウとそうでないムツゴロウが固まっているエリアがあります。
ちょくちょく移動して、比較的人慣れしているムツゴロウが集まっている場所を探すのも良いかもしれません。
ちなみに、射程圏内たっぷりに入ってきてくれるムツゴロウはまずおらず、みんなギリギリ射程圏内という場合が多いです。
最初は届かないと思うかも知れませんが、投げたとき、竿を片腕で持ち、目一杯伸ばせばギリギリ、ムツゴロウの背後30~50cmに落ちます。
・実釣開始
ムツゴロウが出てくると、焦って針を投げますが、ここで絶対やらかすパターンは2つ。
1、力んで目の前の泥に剛速球(針)をたたき込む
2、ガタスキーに剛速球(針)をたたき込む
いずれもアルアルの鉄板パターンです。
針が曲がるときもありますが、手で直せます。
投げるコツはありませんが、基本的に立てた膝の付け根に竿尻を置き、針を投げると同時に竿を倒して遠くまで飛ばすのが一般的だと思います。
疲れてくると、この投げる精度も落ちてくるので、「干潟」の項で書いた比較的楽な道を選ぶのも釣果を伸ばすコツになります。かくいう自分も釣りを開始して、2時間半を過ぎたころになると、疲れて一気に針を投げる精度が落ちたため、納竿にしてます。
ここで、針を投げたときのムツゴロウの反応と、針がベストポジションに落ちた後にしなければならないことを箇条書きにします。
・針直撃は逃げる
・針が直撃しなければ、ミスキャストした針がムツゴロウの前や後ろ、横を通り過ぎてもあまり逃げない。たまに逃げる。
・針がうまくムツゴロウの向こう側に落ちたときに、ラインがムツゴロウに触れると即穴に逃げる。針が良いところにうまく落ちたときは重いけど、なんとか竿を支えて、ラインが真下にいるムツの体に触れないように。
・針が近くに着水した時の泥水なら逃げない。
実際、動画で名人がやっているような、針を投げた瞬間、シュパーンと竿をシャクってムツゴロウを針に掛けるのは、簡単そうに見えますが、我々にはまず不可能です。
なので、我々が取りえる方法は一つです。
まず、ムツゴロウは上の箇条書きのように直撃やラインが体に触れなければ、逃げないことが多いです。
なので、良い場所に針が落ちてムツゴロウが逃げる気配がない場合、ラインに注意しつつ、まず落ち着きます。
そして、竿をゆっくり引っ張り、針をズリズリと徐々にムツゴロウに近づけます。30cm~40cmほど近づいたら、シャクるチャンス到来です。
竿の反動を活かし、ムツゴロウがじっとしてる干潟の泥ごと掬うようなつもりで素早くシャクります。
このシャクリ方が甘く干潟を引きずってくるような回収の仕方だと、せっかく掛かったムツゴロウが目の前で落ちる羽目になります。今回の動画でやらかしました。ひっかけ針にはカエシはありませんので、一気にスパーンとしゃくりましょう。
スパーンとシャクるまでは良いですが、そこでうまく自分を中心に円を描くように遠心力をキープしたまま取り込まないと、掛かったムツゴロウが空中で外れることもあります。自分も結局5回くらいありました。
針にカエシがない上に、ムツゴロウ自体もかなりヌメリますので、遠心力がない状態で暴れると外れる可能性が高くなります。またヒレ部分に刺さっただけの状態だと、遠心力で逆にヒレ切れし、逃げることもあるので、難しいところです。
ちなみに、動画で見れますが、自分の人生初の一匹目はミスキャストしたので、回収しようと干潟の上をズリズリと引きずってきたところに、丁度穴から出てきて針に引っかかった不運なムツゴロウでした。
そして、「自分で釣り上げた」と言える一匹目は尾っぽのほうに掛かってたんですが、この部分に掛かってると水中の魚を釣っているようにブルブル伝わるのも印象的でした。
では、動画をどうぞ!
ムツゴロウを刺身で食べる
ムツゴロウを今回釣りに行ったのは、何年か前にボウズだったので、そのリベンジの目的もあったのですが、実は泥の上の珪藻とかを主食にしているムツゴロウがどのような味がするのか非常に興味があったからです。
幸い、天性の才能が爆発して沢山獲れた、もとい、たくさん名人から頂いたので、刺身を作るには問題なさそうです。
名人の獲ったムツゴロウ。30分くらいで、「あー腰痛ぇ」と言って
帰ってきたそうです。
道の駅のスタッフの方のご厚意で大量に氷をもらったので、クーラーボックスにムツゴロウを入れていきます。
こんな数の生きたムツゴロウをもらえるのは自分の人生でもうないでしょう。
ムツゴロウをクーラーボックスに移動後、腹ごしらえで道の駅のうどんを食べていきました。500円
そしてお土産も。
家に到着。
早速、調理に取り掛かります。
今回は何もせずにいきなり3枚おろしをしたのですが、
かなりヌメるので、一旦塩で揉んだほうが後が楽になります。
そして、3枚おろしにしたのですが、びっくりしたのが、その身の色。
あの泥色の魚体をおろしたら、まさかこんな真っ赤な身がでてくるとは。
魚の体色はある程度、何を食べるかに依存するようです。典型的な例としては、サバの身をあげ続けたエビの体色が青くなったりすることです。
まさか、珪藻を食べると身が朱くなるのかな。
皮を剥ぐと、
面白い発見でした。
これをさっそくさらに盛って醤油つけていただきます。
あまりおいしそうな身の色じゃないかも
うん・・・・・
うん・・・
歯ごたえは一般的な白身魚の歯ごたえ。
ただ、ものすごい新鮮なので、食感がザクザクという感じでした。
味は・・・・うん、非常にタンパクな味で、醤油を付けないと、
あまり味しません。
やはり、ハゼ科。何十年か前に食べたハゼの洗いと全く同じ味がします。
脂の乗りとかはゼロです。
そして、肝心の匂い。
やっぱり、泥の上に住んでいるから、泥臭いのかと思いきや、
まったく泥臭くありませんでした (驚愕)
これにはびっくりしました。
以前、多摩川で釣った、泥臭さとは無縁のイメージのあるシーバスを食べたら、とても泥臭くて食べ切るのに苦労したのを今でも覚えています。
ところが、泥の上を住みかにし、あまつさえ泥の上の微生物を食べている
ムツゴロウがまったく泥臭くないとは!!
人生色んな事を実際に体験しないと、思い込みで終わらせるのはもったいない、
そう感じた瞬間でした。
あと、これは包丁が切れなかったせいでしょうか。
皮を剥いだ面はツルツルの舌触りでしたが、
背骨と切り分けた側の身は少しザラザラな舌触りでした。
ということで、以上、ムツゴロウ釣りのコツと食レポでした!
ちなみに今回は佐賀県鹿島市の、道の駅鹿島でのムツゴロウ釣り体験でしたが、この道の駅でもムツゴロウの蒲焼は売っていますが、生きたムツゴロウは売ってません。
もし、生きたムツゴロウを獲って刺身にしたいと思ったら、自分で獲るしかありません。その時はこの記事を参考に挑戦してみてください。
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