魚にいる寄生虫:写真、動画、寄生虫のお味、対処法など

食べる

2021.06.14




海に囲まれた日本は魚の消費量が多く、それに伴い魚を食べることによる食中毒も発生してきました。フグなどの毒のある魚を食べてしまい救急搬送された事例は稀にニュースになりますが、それ以上に寄生虫、とくに最近ではアニサキスという線虫状の寄生虫が有名ではないでしょうか。

ニュースなどで取り上げられる機会が増えた寄生虫。
今回、この寄生虫を写真、動画、味などと共に紹介していきます。

アニサキス

アニサキス 食べる
一番有名な寄生虫かと思います。白いミミズのような形で、見つけたときは大体渦を巻いています。大きさは様々で、大体2cm~3cmくらいのものが多いです。取りだすと少ししてから動き出します。人間が最終宿主になることはなく、最終的にはクジラやイルカが最終宿主になります。魚に付く寄生虫には色々いますが、インターネット情報や実際の話を聞くと、実害があるのはこのアニサキスだけのようです。

宿主

寄生している魚の種類は幅広く、アジ、サバ、イワシ、タラ、サンマ、サワラ、イカ、シシャモ、カツオなどなど一般的になじみ深い魚ばかりです。

代表的な宿主、マサバ

こちらもよくいるマアジ

エソ

この64cmの特大エソの中に・・・

アニサキス  エソ

いました。中央の丸いのがそうです。

 

アニサキス  エソ

中央の丸いのがそうです。釣って当日に捌きましたが、すでに腹身にいました。

 

アニサキス 食べる

取りだしてすこしすると動き出します。

症状

私自身はまだアニサキスにやられたことはありませんが、一般的な症状は食後2,3時間に胃に刺すような痛みが走り、七転八倒とまでは行かないですが、キリキリと痛むようです。これは、アニサキスが胃壁に頭を突っ込むことによる痛みだそうで、病院に行って胃カメラで取ってもらうことが一般的です。一時期、正露丸が効くとの情報が流れましたが、真偽は不明です。

実際の症状例①
知り合いの例です。
午後8~9時ごろにかけてカツオの刺身を食べ、夜中の2時頃に胃の不快感で起きたそうです。そこから気持ち悪くなり、鈍痛がずっと続いたため、病院で胃カメラをしたところ医者から「いたよ~」ということで取ってもらったそうです。通常、アニサキスを取ったあとはすぐ回復するそうですが、この知り合いの場合はその後2,3日間は胃の不快感が残ったそうです。

実際の症状例②
これも知り合いの例です。
魚を生食後、家族でアニサキスに当たったそうです。胃がズキズキ痛み、夜も寝れなかったそうですが、病院にもいかず仕事に行き続け、一週間後くらいに自然に治ったそうです。
上でも書きましたが、人間はアニサキスの最終宿主にはならないため、アニサキスの個体差もあると思いますが、大体一週間くらいで死ぬようです。一週間痛みに耐え続ければ、たしかに医療費の節約にはなりますが・・・・

対処方法

対処方法として、アニサキスは一般的に目視できるため、捌く時に見つけて取り除く方法があります。背中側の身にも入っていることがありますが、通常内臓にいるため、内臓に近い腹身に寄生している場合が多いです。そのため、腹身をより重点的にチェックしたほうが良いです。

また、釣りをする人は聞いたことがあるかと思いますが、一般的にはアニサキスは魚が生きてるうちは内臓にいるが、魚が死んで鮮度が悪くなると筋肉のほうへ移動すると言われています。今まで、自分もそれを信じてサバを刺身で食べたい場合は釣ったその場で内臓を処理していました。

ところが、5月に釣ったサバをその場で処理したところすでに腹身に3匹いるのが確認できました。釣ったその場で内臓処理した魚でもすでに筋肉にアニサキスがいる場合があるので要注意です。

現実な対処法として、一番は加熱することです。
加熱すればアニサキスは死滅します。塩焼き、竜田揚げ、煮つけ、サバ味噌などなどそういった料理はアニサキスの心配はありません。

それでも生で食べたい!!、という場合には冷凍がおすすめです。
家庭用冷蔵庫の冷凍室で2日間冷凍すればアニサキスは死滅すると言われています。
私自身、しめ鯖を作る時には必ず冷凍しています。

他の対処方法としては、刺身を薄切りにすることです。アニサキスは体が切断されると死んでしまいます。そのため、なるべく包丁を入れる回数を増やし、アニサキスに当たる可能性を下げることも有効です。

最後によく噛む、ということです。
上でも述べましたが、アニサキスは切断されると死んでしまうため、よく噛みアニサキス自体を噛み切ってしまえばあなたの勝ち。アニサキスは寄生虫ではなく良質なタンパク質に早変わり!魚を食べるだけで2種類の異なるタンパク質を同時に摂取できるので一石二鳥、お得な気分です。

アニサキスを食べてみた

ということで、そのアニサキスタンパク質を摂取してみました。
釣ったサワラから4,5匹獲れたので煮つけにして食べてみました。

タイノエ

魚 寄生虫   タイノエ

左がメス、右がオスです。

タイノエはビジュアル的にはアニサキスよりも強烈なのではないでしょうか。魚の口の中に寄生しています。
スーパーに売っている魚で口を開いている物は、その開いた口からこのタイノエの顔がコンニチワしているのをよく見ます。一時有名になったダイオウグソクムシを小さくしたような形で、魚の舌に吸い付き、そこから体液などを吸います。このせいで、寄生された魚の舌の部分がなくなってしまう場合もあります。また、一般的には寄生された魚は死ぬことはないようですが、体液を吸われすぎて、頭蓋が変形する、ということは聞いたことがあります。

よく、オスとメス、一匹ずつがいて、メスのほうが大きくオスの2倍くらいあります。

魚 寄生虫   タイノエ

上がメス、真ん中がオス、一番下もオス

このオスとメスが一匹ずつなかよく口腔内で暮らしていることから、結婚式の鯛の口の中にオスとメスがいたら縁起が良い、とも言われているそうです。新婦が見たら卒倒しそうですが・・・。
ちなみに両方とも口の中から取りだしたらメスは動きませんが、オスはワシャワシャと足を動かします。人間への寄生や被害は今のところないようです。

宿主

アニサキスと同様、宿主は多岐にわたります。
まずは先述したマダイ。そのほかチダイやレンコダイにも入ってることがあります。それほど大きい魚でなくても20~30cmの魚に入ってることもあります。ブルーと黄色が美しいタカベもそうです。20cm前後の魚ですが、スーパーで売ってるものはよく口からタイノエちゃんが飛び出しています。そして、タイノエのキングオブ宿主といえば、この魚、カイワリ。
むしろタイノエが入っていない個体の方が少ないです。先日スーパーでたくさんカイワリが売っていたので、口を開けているものだけでもチェックしたら10分の9はお口にいました。

 

インスタグラム映像:釣ったばかりのカイワリの口からコンニチハ

 

タイノエはマジ旨い!!

もし釣れた魚の口の中にいた場合、ペンチかなんかでつまんで引きずり出してポイするしかありません。または、口の中にしかいないので、調理の時に頭を落としてそのまま生ごみにしても良いですが、それは非常にもったいないです。
焼いて食べるんです!

・・・いや、冗談じゃなくて。
以前、もらった鯛の口のなかにオスとメスがいたので、焼いて恐る恐る食べてみたのですが、味はまさにイカのフワフワ感とエビのむっちり感のいいとこ取り!甲殻類だけあって殻もありますが、焼くことよってカリッとなりそのまま食べられます。
ちなみにオスとメスで言ったら断然メスが肉厚で美味しいです。オスは逆に小さくガリガリで殻が口に残る感じです。ぜひ一度だまされたと思って食べてみてください。

ブリ糸状線虫

ブリ糸状線虫アニサキスのボスのようですが、違う種類になります。

ブリ、とつくだけあって、ブリにいます。50cmくらいまでのイナダ、ハマチサイズならあまりいませんが、大型になるほどこの寄生虫が入っている率が高くなります。見た目は細長いミミズ。自分が実際に見たのは30cmくらいまでですが、ネット情報によると、50cmくらいまでのがいるそうです。寄生の仕方もいくつかあるようで、自分の見たものは一カ所にグルグル巻きになっていましたが、なかには背骨に沿って寄生するものもあるようです。ブリ糸状線虫が住んでいた場所は跡になって残ってしまうことも多いようです。

ブリ糸状線虫ブリ糸状線虫がいた跡。身が白っぽくなってへこんでいるのがわかる。

食べてしまっても人に害はないようですが、鮮魚の通信販売でもこの寄生虫のクレームがけっこうあります。
誤って食べてしまっても問題ないようですが、どうしても嫌な場合は加熱すればよいでしょう。
実際、71cmのハマチを釣って捌いてみたらいました。

テンタクラリア

魚 寄生虫   テンタクラリア
初ガツオや戻りガツオが好きな人にはおなじみの白い米粒大の寄生虫です。カツオの腹身に白い米粒が見えたら、まずこの寄生虫です。今迄のところ、この寄生虫による健康被害は確認されていません。目で確認できるので、調理の際に取り除くか、加熱してしまえば、タンパク質です。
魚 寄生虫   テンタクラリアカツオの腹身。3匹いるのがわかりますか?一匹は身の奥に入ってしまって薄い白に見えます。

魚 寄生虫   テンタクラリア

取りだしてから少しすると動き出します。ちなみに、ナメクジのような角があります。

ディディモゾイド

魚 寄生虫   ディディモゾイド

戦隊シリーズの怪人か、モンハンの怪獣にいそうな名前のこの寄生虫。
魚のエラや内臓、身など色々なところにいるようです。宿主もコロダイ、ソウダガツオなど色々な魚への寄生が確認されています。
食べても実害はないようです。私も実際、マルソウダガツオのお刺身を買ったときにディディちゃんを発見しましたが、そのときは知らなかったのでそのまま食べてしまいました。
それから2年以上たちますが、いまでも生きてます。

魚 寄生虫   ディディモゾイド
魚 寄生虫   ディディモゾイド

ヒル

フグ 寄生虫 ヒル

川で釣れたフグのお腹に2匹ヒルが付いています。

これを食べてみようと思う人はなかなかいないのでは・・・。
この寄生虫の宿主で自分が確認できているのは、クサフグとベラです。ほかにももっといると思います。
山歩きなどでいつの間にか服の中に侵入して血を吸ってくるヤマビルとは違う種類で、現在のところ人体への被害はネット情報等みてもありません。
写真のヒルは純淡水の川で釣ったフグに付いていました。
もしかしたらフグはこのヒルを落とすために川にいるのかもしれません。
【動画】川で釣れたフグに付いてるヒル

 

まとめ

これから夏にかけて、アウトドアで釣りを楽しみ、釣った魚を食べる方も増えると思います。
その時、もしこれらの寄生虫を見つけても決して魚を丸ごと捨てないでください。
そして、その時はこの言葉を思い出してください。

 

加熱すればタンパク質




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